集団だからこそできること
是枝:実際に映像制作をやってみて難しかったことや、面白かったことを言ってよ。
城:何人かと一緒にひとつのものを作ることにおいて、リーダーである僕がこうやりたいから、このようにするというのは、意外と自分がシャーペンの芯のようにすぐ折れるなと。
それで僕、集団でやるということの難しさを感じましたね。
でも、集団でやって、うまくいくときは凄く楽しいし、強いものはできるし。というところですかね。
橋本:一言で振り返ると、撮影自体は闘ったなという感覚が…。
是枝:何と闘ったの?
橋本:なんですかね。いろんな状況大変だったので…、でも全体的には最高でした(笑)
是枝:何が最高だった?
橋本:撮影以外であまり人と関わらないというか、撮影がないと、あまり人と関わろうとしない性格なので、よかったですね。
是枝:人間が成長した感じがする?
橋本:意外とこういうのもできるんだなという体験が…!
苦手意識があって、人と協力するのはあまり向いてないじゃないかなと思ってやってこなかったんですけど。
やってみると楽しいし、人に頼ることで自分ひとりでは絶対にできないことができる、ということはありがたかったです。
清水:映画を作ることを学ぶために授業を履修したんですけど、映画作りじゃなくて、人間関係を学ぶことのほうが多かったような。他人のことだけじゃなくて、自分のことも知れたなという感覚がありました。
もちろん映画のこともちゃんと学べて、初監督だったんですけど、監督をして絵コンテとかを考えて、映画作りの作業をしたことで、映像の見方がまるで変わったなと。その新しく獲得した見方も、プロからしてみれば未熟かもしれないけれど、素人ではない見方ができるようになった気がするなと思いました。
是枝:いい収穫ですね。
廣島:制作がやっと本格化がした感があるので、今が一番楽しくて一番大変という感じです。
集団行動の面で言うと、僕は大学四年間でサークルやったり、ゼミでも幹部をやったりと経験が多かったので、(今回映画製作の)元々のメンバーが離脱せずに、みんなで考えてくれるようになっているのは、今まで積んできた経験が活きているのかなと。
後、これも皆さんと違って、そもそも映画をあまり見ない人間だったので、ドキュメンタリーを作るとなったときに、まずドキュメンタリー映画を観たこともないから観なきゃというところから始まって、取材をするならこういう風に撮ったほうがいいとか、映画についていろいろ考えられたのは、非常にいい経験でした。就職先も映像関係のところなので、この経験を活かせたらいいなと思います。
新しい映画の見方ができるように
監督ならではの振る舞い方
星合:楽しかったんですけど、楽しかった時期を越えてからは、結構いろいろ大変でした。
私を含めて映画作りを何も知らない子ばかりだったんですけど、この大変な時期を乗り越えようと、高みを目指して、みんながもがいてる感じが青春っぽくて楽しかったです。
是枝:何が一番大変なの?
星合:人間関係とかが大変でした。けれど今はそれを超えて、完成に向けて、それぞれが得意なことをさらに伸ばしたり、全然できなかったことを学ぼうとがんばって突き進んでいるので、頼りになるし楽しいなという感じです。
宮崎:一言で表すと、とにかくしんどいです。でも、しんどいのは嫌いじゃないかなと。
まず自分の企画を脚本にするところからすごく悩んで、脚本がなかなか定まらない中で、それと平行して今度は人を動かさないといけなくなり、人を動かす経験は今まであまりなかったので、こんなにきついものかと思いました。
こういうことをいうのはあれですが、あまり思ってなくても、ごめんなさいと言えるように…
是枝:思ってないけど(笑)
宮崎:思ってないけど、言えるようになりました。成長と呼んでいいのかわからないですけど。
是枝:成長だ。
宮崎:じゃ、成長で(笑)
橋本:感情をコントロールできるようになった?
宮崎:こういう風に立ち回らないといけないんじゃないか、というのがちょっとわかるようになってきた。
城:感情コントロールできるようになったわ!
橋本:映画をちゃんと撮ることを最優先に考えると、自分の感情を後にして。
城:そう、いくら(時間が)押してて、絶望だ!みたいになっていても、意外と飄々としてる!
宮崎:絶望だけど、自分が絶望だとは絶対言えないから。
城:言えない。
橋本:だって、監督のためにみんなに来てもらうから。
宮崎:超ハッピーみたいな感じで、自分がやらないと。それはしんどかったな。
城:ごめんなさいというのは、心こもってないの、ばれてるかな?ちょっと疑問。
宮崎:ここで言ったことでばれましたよ。
(全員笑う)
橋本:何にごめんなさいと言ったんですか?
宮崎:相手が言ってきたことに対して「いや、それはさ」という反論がある時も、「そうだよね、ごめんなさい」と言えるようになりました。
(つづく)